フレネル積分(とガウス積分)
こんにちは、迅です。
量子力学の本を読んでいたときに、
ガウス積分を複素数に拡張したものが出てきました。
特別難しいことではないですが、
メモとして書き留めておこうと思います。
問題
コメントと解法
ネイピア数の指数部分に虚数を含んでいる点がガウス積分と異なるところですね。
ガウス積分は、例えば正規分布 () を考えるときに
確率分布は全空間で積分をしたら1になるよう要請されていることから、
正規化するために計算することがあったりします。
ちなみに、ガウス積分は
と得られます。
(ガウス積分は本題とずれるので、下を参考にしてください。)
まず、を複素平面すべてで積分することを考えます。
これは被積分関数が正則なのでコーシーの積分定理よりゼロになります。
一方で、と変数変換することで、
図のように積分領域を分割してもいいはずです。
円弧の半径をとすると、各領域の積分は次のようになります。
(1): となり、これはほしい結果のの無限大極限前の表式ですね。
※ 実線上なので、の場合を考えています。
(2): となります。
※ は反時計回りを正としました。
※ はで固定されていることに注意すると、ヤコビアンはです。
ここで被積分関数に着目すると
となります。(を使いました。)
一見、で発散するように見えますが、
元の被積分関数においてと変換するので、第一項がゼロに収束し
この積分はの無限大極限でゼロになります。
(3): です。
※ で固定されたところをで積分するので、ヤコビアンはです。
※ 積分の向きが第4象限から第2象限に向かっているので、
と向きが変わっていることに注意してください。
が固定されていることからこの積分はもう少し簡単にできて、
となります。
ここで、を無限大の極限をとると、ガウス積分になることを用いると、
となります。
(4): これは(2)と同様の議論から無限大極限でゼロに収束します。
以上から、(1)-(4)の和がゼロになる(コーシーの定理)ということなので、
が得られます。
このままでもいいですが、もう少し簡単にできて、
であることを用いると、
面白いことに厳密には複素積分をする必要があるのですが、
実用上は単純にガウス積分の係数に虚数がついただけの結果になりますね。
ガウス積分
を解きます。いろいろな解き方がありますが、その一つを紹介します。
まず、次のようにして二次元平面に拡張します。
これは、平面上を積分することになっていますが、
よくみると(A.1)を二乗しているのと等価なのがわかります。
(とは入れ替えても同じです。)
なので(A.2)を解いて平方根を取れば、解が得られるという戦法です。
ここからは、(A.2)を解くことを考えます。
直交座標から極座標に変換 すると、
このヤコビアンはなので、
変数変換後の(A.2)は
となりますね。
に関しては被積分関数にに依存する項はないので積分できて、
が得られます。
に関しても素直に積分すればいいです。
これもやり方はいくつかあると思いますが、こんなことを考えると便利です。
これを使うと、(A.4)は
と積分できます。
あとは平方根を取ればよいですね。